「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産登録を祝して 古墳って、何?
百舌鳥・古市古墳群は、2019年7月6日、アゼルバイジャンのバクーで開かれたユネスコ世界遺産委員会で世界遺産に登録されました。
日本の古墳は3世紀~7世紀にかけてつくられた土を盛った墳丘のあるお墓で、古墳の大きさが権力の大きさを現すものと考えられています。当時の権力者やその一族の大きな古墳には、墳丘に幾何学的なデザインを施し、棺のほか装飾品や埴輪などが一緒に納められていました。こういった古墳は、高度な埋葬文化が存在していた事、卓越した建築技術・建築物である事を物語っています。
古墳には様々な形があって、円墳、方墳、八角墳、丘が二つある前方後円墳、前方後方墳、などと呼ばれています。日本で一番大きな古墳は、堺市にある前方後円墳の大山古墳です。
全国には16万基を超える古墳があるといわれています。
現存する古墳の多くは、樹木が生い茂った小高い森のように見えますが、つくられた当初は、土を盛られた人工的な墳丘だったのが、歳月とともに木々が茂った状態になったと考えられています。
堺市には44基残る百舌鳥・古市古墳群の魅力は?
百舌鳥・古市古墳群は、堺市の「百舌鳥」、羽曳野市・藤井寺市の「古市」の3市にまたがる2つのエリアからなる巨大古墳群です。かつては200基以上つくられたとされていますが、現在では前方後円墳、帆立貝形墳、円墳、方墳の4種類、80基以上が残っています。
墳丘の長さが200mを超える古墳は全国に40基近くありますが、このうち11基は百舌鳥・古市古墳群に現存していて、大山古墳(墳丘長486mで全国1位)、応神天皇陵古墳(古墳長425m・全国2位)、履中天皇陵古墳(同365m・全国3位)と、全国でも類を見ない巨大前方後円墳が集中しているのが百舌鳥・古市古墳群です。
このように、百舌鳥・古市古墳群は、高度な埋葬文化や社会秩序を物語る古墳にあって、規模と大きさに秀でた日本の古墳群の規範となる、古墳時代の文化を顕著に語る築造物です。
大阪府初、世界文化遺産に登録されて
世界遺産には、記念物、建造物群、遺跡などの「文化遺産」、動植物の自生地や自然景観などの「自然遺産」、さらに両方をあわせ持つ「複合遺産」の3種類があります。
大阪府、堺市、羽曳野市、藤井寺市は、2011年5月、知事と3市長をトップとした「百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録推進本部会議」を設置し、世界文化遺産登録の実現を目指して取り組んできましたが、2019年7月6日、アゼルバイジャンのバクーで開かれたユネスコ世界遺産委員会で、世界文化遺産への登録が決定されました。日本国内の世界遺産は、自然遺産の4件とあわせて、23件に。大阪府内の世界遺産の登録は初めてです。
先人たちの知恵や文化を語り継ぐものとして、現在まで残されてきた遺産である百舌鳥・古市古墳群を、これからも人類全体の遺産として、後世に伝えていくことが大切でしょう。
・大山古墳へのアクセス
JR「天王寺」駅からJR阪和線(区間快速乗車の上「堺市」駅で普通に乗換え)約15分「百舌鳥」駅下車、徒歩で西へ約500m
・応神天皇陵古墳へのアクセス
近鉄大阪阿部野橋駅から近鉄南大阪線準急約16分、「近鉄土師ノ里」駅下車、徒歩で南西へ約1㎞
資料:大阪府府民文化部都市魅力創造局魅力づくり推進課「世界文化遺産を大阪に 百舌鳥・古市古墳群」ホームページ
http://www.mozu-furuichi.jp/