旨味や甘味が特長の秋茶
日本茶の春の新茶に対して、一年で最後の御茶摘みの季節である10月頃の秋に摘まれるお茶は4番茶や秋番茶と呼ばれます。日本のお茶だけでなく、インドの紅茶は春摘みがファーストフラッシュ、秋摘みがオータムナル、中国茶でも春茶に対して、秋茶と呼ばれています。
一般的に、秋茶は、春の新茶に比べて葉は固めで、夏の日差しをたっぷりと受け、カテキンやカフェインが多く、旨味や甘味、渋みが増すのが特徴です。
秋のスイーツにぴったりの秋茶
秋のお茶は、味がさっぱりしていて、渋みが増すので、脂っこい料理によくあい、食後の口直しにもぴったりです。秋番茶は、たっぷりの茶葉に熱いお湯を注ぐと、カテキンがたくさん摂取できます。
中秋の名月(2018年は9月24日)の月見団子や、和菓子の栗きんとんなど、秋の風情が味わえるお菓子との相性もぴったりで、のど越しに一層風味が広がるでしょう。
秋摘みの紅茶は、一年を通じて最も味が熟成しているといわれ、まろやかな味と香りが特徴で、深い色が楽しめます。世界三大紅茶のひとつ、産地の名が付いたダージリンは、ファーストフラッシュなら香りを楽しむストレートで飲むのが好まれるようですが、オータムナルは、色濃く出るので、ミルクティーとしてもおすすめ。甘いケーキの後口をすっきりとさせてくれます。
中国茶のなかで秋茶の代表格は、鉄観音の中でも最上品と言われている「安渓鉄観音」、台湾茶では一年を通じて温暖な気候の凍頂山エリアでとれる「凍頂烏龍茶」、また茶樹とは異なりますが「茉莉花茶(ジャスミン茶)」があります。
「安渓鉄観音」には、サツマイモのきんつばなどはいかがですか。色味や甘さが調和して、深まる秋とともに気分をホッコリとさせてくれるでしょう。
水道水を沸かして美味しいお茶を
日本茶、中国茶、紅茶のルーツは、どれも同じ中国の茶樹。カメリア・シネンシスというツバキ科の常緑樹の葉から作られます。お茶をいれるのに適した水は、軟水、水道水です。
茶葉をいれたポットに熱湯を注いだ時にできる対流により、茶葉の成分がお湯にとけだしていきます。ミネラルウォーターは、その対流を引き起こす空気が含まれていないので、お茶の成分が十分に引き出されません。
また、ヨーロッパの水の硬水は、お茶のタンニンが溶けだすのを、硬水に含まれるカルシウムが妨げるので、お茶本来の味や香りが引き出されません。
日本の水道水の水も、空気が抜けた水になってしまわないように、沸かしすぎや沸かしなおしのないお湯を使いましょう。
茶葉は、湿気やにおいを吸収しやすく、空気に長く触れると酸化して、せっかくの味や香りがおちます。さらに光や熱にも弱いので、光を通さない専用の密閉できる保存容器にいれて、冷暗所に置きましょう。