扉の選び方

扉の種類、それぞれのメリット・デメリット

住まいを考える上で重要な扉。仕切りや目隠しとして、密閉性、遮音性、独立性などの役割、開放感や高級感、統一感などのデザイン性など、扉は多彩な機能と表情をもたらしてくれます。
扉の開閉の種類として分けられるのは、開き戸や引き戸、折れ戸などです。

玄関ドアによくみられる開き戸は、片側をちょうつがいで固定し、ドアノブの操作で開閉します。幅広い玄関ドアやリビングドアなどには、左右にちょうつがいを設けた両開き戸もあります。扉やドアノブのデザインが豊富で、気密性や遮音性に優れています。
しかし、開閉時にドアがまわるスペースは、開けておかなければならないので、その部分は物を置いたりすることができません。さらに、ドアの隙間に指を挟んだり、車椅子に乗ってドアの開け閉めが難しかったりします。

引き戸は、和室の障子や襖に見られるスライド式の扉です。一枚をスライドさせる片引き戸、二枚以上をスライドさせて、左右のどちらにも戸を寄せられる引き違い戸、壁になった戸袋に戸が納まる引き込み戸などの種類があります。
この引き戸のメリットは、開閉するときの動作が少なくすむ点です。さらに、半分だけ開けておいて通風をはかることや、往来が頻繁な時は、開けたままにしておくこともスムーズにできます。
一方、デメリットとしては、敷居やレールに床との段差ができたり、レールにホコリが入ったりします。

折れ戸は、扉と扉がちょうつがいでつながっていて、引くと扉が折りたたまれるタイプです。開けたときの扉まわりのスペースが開き戸より小さく、引き戸より間口を大きく開けることができます。

設置する場所別の扉の選び方

開き戸は、ご存じのとおり玄関ドアや部屋のドアなどに多く採用されています。意匠も機能も多彩で、家の顔としての趣が表現できるでしょう。
部屋のドアは内側に引いて開く内開きと、押して開く外開きがあります。廊下などの邪魔にならないように内開きタイプが一般的ですが、トイレなどの狭い空間のドアは、外開きになっている場合が多いようです。
ドアの前に家族がいるのを知らずに開けてぶつけることがないように、ドアにガラスをはめ込んだものや、ドア枠が重厚な印象になるケーシング枠、開放感を演出する天井高までのトールタイプなど、開き戸はデザインや色、質感も豊富です。

開放しておける引き戸は、通風を考慮して洗面所に使われたりします。床のレールの溝のお掃除が気になる場合は、吊り戸にされると、床はフラットになりますが、気密性の面が少し弱くなります。
バリアフリーを考える場合は、部屋の扉を引き戸にされると、車いすでも開き戸より開閉がしやすいでしょう。部屋に開き戸のようなドアまわりのデッドスペースができず、空間を有効に使えます。

折れ戸は、クローゼットやパントリーといった収納の扉に設置されます。間口の広いクローゼットは、折れ戸が左右に移動できるようにすると、開口部を大きく確保できて、物の出し入れがしやすいです。

扉を設ける目的や空間との兼ね合いを考えて、扉を設置することとあわせて、設置しない選択もあります。扉を設けずに、スキップフロアや壁などで緩やかに仕切ることで、広がりを感じさせることもできます。普段の生活スタイルや家族の動線などを思い返してみて、どんな時に扉が必要か、どんなタイプが便利か、扉のメリット・デメリットを理解して、最適な扉を考えてみましょう。