冬の入浴

入浴のメリット

寒い冬の冷えた体も、温かいお風呂につかるとホッと、体も心も寒さから放たれて溶けていきそうな心地よさですね。
水圧で血行が良くなって、新陳代謝もアップ。心身ともにリラックスしてストレス発散、疲れが癒されます。お風呂好きには、一日の終わりの大切なローテーションに上げられるでしょう。
色や香りが楽しめる入浴剤を入れれば一段とリフレッシュできそうです。

ヒートショックに注意

一日の疲れを忘れさせてくれる入浴タイムですが、ヒートショックに注意が必要です。
ヒートショックとは、急激な温度変化によって、血圧が急上昇したり、また急下降したりして起こる現象です。温かい部屋から一歩廊下に出て「ゾクッ」とした経験はありませんか。それもヒートショックです。
脱衣室からさらに冷えた浴室に入ってブルッと震えて、温かい浴槽にザブンと勢いよくつかるなんてことをしていませんか。反対に温まった体で、寒い脱衣室へ向かうなど、血圧の急激な変化が、ヒートショックによる失神や不整脈の症状を引き起こします。

入浴中の急死は、体温上昇及び低血圧による意識障害のために、浴槽から出るのが困難になり、溺れたり、さらに体温が上昇して熱中症になったりすることが要因に考えられています。
実際、溺死は夏よりも11月から3月に多く、場所別にみると自宅が約4割、発生の時間帯は午後6時から午後11時が多くなっています(資料※1)。
さらに、自宅での溺死を年齢別にみると高齢になるほど多いです(厚生労働省「人口動態調査」より)。

※1:厚生労働省:平成21年度「不慮の事故死亡統計」の概況:平成20年の詳細分析

温度差を無くして、安全な入浴を

そこで、冬の入浴方法を考えてみましょう。

・まず、脱衣室や浴室を事前に暖めておきます。
入浴前に脱衣室を暖房機で暖めたり、シャワーを出して浴室を暖めておきましょう。浴室暖房乾燥機が備わっていれば、浴室暖房で浴室だけでなく、扉を開ければ脱衣室にも暖気を送れます。

・家族に「お風呂にはいります」と一声かけて。
入浴する時には、ご家族に一声かけてから、お風呂に入りましょう。今日はお風呂が長いなと思って気にかけてもらえれば、万一の場合、早く発見・対処ができます。

・食後や飲酒後、薬の服用後すぐの入浴は避けましょう。
食後は血圧が下がりすぎる場合があります。飲酒後や精神安定剤睡眠薬等の服用後も入浴は避けましょう。

・湯温は41度以下に、浸かる時間も10分くらい。
熱いお湯に浸かると血圧が一気に上昇し、そのあと急降下します。血圧が下がりすぎると意識障害を起こして失神する場合もあります。
熱いお風呂は体の表面だけ温めて、芯が温もっていないかもしれません。ポカポカを持続させるためにも、体の芯から温もるぬるめの温度で入浴しましょう。

・バスタブから急に立ち上がらないのが大事。
勢いよく湯舟から出ようと立ち上がると、血圧が急に下がります。湯船から出る時は、ゆっくりと立ち上がりましょう。

・入浴前後の水分補給を心がけましょう。
入浴の発汗によって体の水分が失われます。入浴後だけでなく、入浴前にもコップ1杯の水分をとってからお風呂に入るようにしましょう。

もし、浴槽でぐったりとしている人を発見したら、・浴槽の栓を抜く・浴槽から救出できない場合は、蓋に上半身をのせるなどして沈まないようにして救助を要請する・救命処置をとる、といったことを覚えておきたいですね。
(参考:消費者庁(平成30年11月21付けNews Release))